フルール・マリエ


真田さんに三原様のことを報告すると、そうか、と短く頷いた。

「手続き等はプランナーに話した後になります」

「新郎新婦で決めたことなら仕方ないですね」

どんな話し合いをもたれたのかは私達には知る由もないが、新婦が1人で報告したことに新郎は完全に納得してはいないんじゃないかと感じた。

本当に結婚を辞めるのであれば新郎の承諾は必要になるだろうから、新婦の一存ではないだろうが、それにしても話し合いの余地はもう無かったのだろうか、と思ってしまう。

「申し訳ありませんでした。真田さんにもお手数をお掛けしたのに」

「こちらが努力したからといって、こちらの期待通りになるとは限りません。判断を下すのはあくまでもお客様です。君は業務を全うしました」

自席に戻っても、やはり三原様のことが頭を離れなかった。

三原様の心の不安にも気づかなかったこともそうだ。

もっと前から三原様は何かのサインを送っていたのではないだろうか、もっと前から自分ができることがあったのではないだろうか。

淡々と事務処理をこなしながら、ふとした時に三原様への自分の言動を思い出しては、小さく溜息を吐いた。


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