フルール・マリエ
「では、色打掛をご覧になって頂きますね。場所を移ります」
和装は2階に畳の部屋があるので、エレベーターを使って3人を案内した。
結婚式は新郎新婦が主役であるものの、両家との繋がりでもある。
両家との深いつながりのある方も列席するわけで、その方達へのお披露目の場でもあるため、両家の格式を重んじて両親の意見が入ることはあり、新郎新婦で自由に決められない事情もあるわけだ。
ただ、どうにかして、新婦の希望も聞き出せないものかと思った。
理由があるにせよ、新婦が全く楽しめない衣装選びなど、意味は無い。
衣装は結婚式を彩る最大のアイテムと言ってもいいくらいだ。
衣装に不満があれば、当日は苦痛であるし、思い出した時に後悔が募ってしまう。
最高の当日、最高の思い出を新郎新婦に届けるためには、やはり新婦の意見が皆無では成り立たないのだ。