フルール・マリエ
会場が暗くなると司会者から案内があり、その後に眩い光がランウェイを照らしながらBGMと共に新作ドレスに身を包んだモデルが背筋を伸ばして私達の目の前を歩いては、Uターンして戻って行った。
どれも細かい装飾が施され、大胆な発想から作り上げられた見たことも無いドレスばかりだ。
こんな特別な1着を着て結婚式に臨める花嫁は幸せだろう。
クールなドレスを着ているモデルの顔はキリッと自信に満ち溢れる表情だし、可愛らしいドレスのモデルは表情も柔らかかった。
モデルだから、そういう魅せ方をしているとは思うが、実際に衣装によって着る人の表情や気持ちは変わるのではないかと思う。
改めて、私の仕事は責任が重く、そして夢のある仕事なのだと思った。
最後のウェディングドレスを着たモデルは持っていたブーケを観客席にふわりと投げた。
そのブーケは、放物線を描いて私の膝の上に着地した。
驚いて舞台を見ると、ちょうどモデルがこちらに、にこりと微笑んで、Uターンして戻って行った。