フルール・マリエ
「デートとか結婚とか興味無いって言ってたくせに」
それは、千紘と初めて食事に行った時のことだ。
随分冷めた事を言うものだと思った。
「体裁のためにデートや結婚をする気はないのは本当だよ。どうやら、俺みたいなのは彼女がいなくて結婚もしていないと何かしら欠陥があるんじゃないかって勘繰られるみたいでね」
叔母さんがお見合いの話を持ってくると言っていたことを思い出す。
地位も美貌も兼ね備えた男に女の影が無ければ、逆に心配になってしまう気持ちもわからないでもなかった。
「ああ、そうだ。聖、叔母さんに会ってくれないかな?」
「は?」
「お見合いしろってうるさいんだ。そうじゃなきゃ、結婚相談所に登録しろとかいろいろね。で、俺がこの前彼女がいるって嘘ついたら、会わせろと言ってきた。そのうちに、ってかわしてたんだけど、そろそろ嘘だと思い始めてるんだ」
「それで、何故私が?」
「彼女のフリしてくれればいいよ。1回会えば一旦は気が治るだろうから」
「い、嫌だっ!今度はその彼女といつ結婚するんだ、とかなるよ?」
「なるかもね。でも、2年くらいはのらくらかわすよ。少なくとも、お見合い話はなくなりそうだ。その頃には、本当に付き合うことになってたりするかもしれないしね?」
唐突の提案に頭が痛くなってくる。