フルール・マリエ
3着ウエディングドレスを用意して奥さんには着替えて頂くことにした。
1着目は鎖骨から腕にかけてレースで覆われた七分丈の袖付きAラインドレスを着て娘の前にお披露目した。
「袖付きなんてのもあるのね。これなら安心するわ。腰が締まったドレスも意外ね。すとんとしたドレスの方が体型カバーできると思ったんだけど」
エンパイアドレスのことを言っているのだろうと思い、頷いて答える。
「一見そう思えるんですけど、くびれのないエンパイアドレスは逆に膨張して見える場合があるんです。それよりは、Aラインやプリンセスラインのようなくびれのあるドレスでメリハリをつけた方が細く見えますよ。あとは、ベールを体に沿わせると、更に体型カバーになりますね」
試しにベールを頭から肩にかけて伸ばしてみると、奥さんが本当ね、と嬉しそうに鏡を見ていた。
「お母さん、いいよ。似合ってる。お父さんにも写真見せようよ」
娘が携帯を構えると、奥さんは恥ずかしそうに下を向いたものの、嬉しそうでもあった。
ウエディングドレスはいくつになっても憧れの衣装なんだと浜崎様を見ていると実感する。
ひとしきり写真を撮った後でプリンセスラインも着用してもらうことにした。