それがあの日の夢だった
私は自宅の前に座り込んだ。
いや、私の「家があった場所」と言うべきだろうか。

どうすればいいのか分からなかった。
今ここで私が冷静かつ正気に戻ったとしても、もう私に出来ることはなかったかも知れないけど…。

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」

叫んだ。ただ叫んだ。
声がおかしくなるくらい。喉が痛むくらい。
狂ったように。気が触れたように。
違う。ようにじゃない。もう狂っている。


その時だった。
「来羽…?」

血まみれの瓦礫の中から僅かだが声が聞こえた気がした。

その瞬間私は立つことも忘れる勢いで声のする方向に飛びかかった。

何も考えずにただただ瓦礫を漁る。

途中瓦礫の縁で手を切ったり刺さったりしたがどうでもよかった。
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