それがあの日の夢だった
「…お母さん?」

瓦礫の下にいたものは、顔は血まみれでよく見えなかったが、確かに分かる。お母さんだ。

「…来羽?来羽!」

私は私の名を呼ぶお母さんの体を抱き締める。
血まみれのため服越しに冷たさが伝わってくるが、その体は温かくしっかりと私を抱き返してくれた。

自然と涙がこぼれる。もう残っていないはずなのに。

「来羽、生きててよかった…」

お母さんも涙を流していた。
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