それがあの日の夢だった
「お帰りなさい、来羽」
私の実家はこの村の北の隅ににある。

家の前では既にお母さんが私を待っていた。

「ただいま!!お母さん」

私はお母さんの元に走っていき、思い切り抱きつく。お母さんは私を強く抱きしめ返してきた。






家の中に入ると4年前と全く変わっていない懐かしい匂いがした。

昔ながらの畳の匂い。お母さんの長年の愛用している石鹸の匂い。幼い頃から大好きなお母さんの手料理の匂い。


「ほら来羽。お食べ」

私の目の前の机に料理が運ばれてくる。
やはり久しぶりの里帰りだからか、食べきれる予感がしないくらい出てくる。その中に私は幼い頃からの大好物を見つけた。


「あ!焼き魚だ!」
「そうよ、昔からの来羽の大好物の鮭よ」
「やった!!!」

お母さんの焼く魚はちょうどいい焼き具合で昔からの私の大好物だ。
その中でも特に鮭が好きで、多すぎず少なすぎずの塩加減が最高だ。


「どう??今日も塩加減はどう??」
「うん!今日も最高だよ!お母さん!」

私が満面の笑顔で料理を褒めるとお母さんは優しい笑顔で笑い返してくれた。

「ただいまー、おぉ来羽。帰って来ていたのか」

私がご飯を食べていると、お父さんが仕事から帰って来た。

「お帰りなさい。あなた」

お母さんが立ち上がって台所に向かっていく。
きっと仕事帰りで疲れたお父さんにも料理を出すんだ。

「来羽、学校はどうだ??」
私の目の前に座ったお父さんは耳を掻きながら私に尋ねた。

私はこの蛇人族の村から遠くの町の高校に下宿して通っている。
この村には学校がないからだ。

小学校まではあるのだけど子供の人口が少ないからか、私が生まれる少し前に小学校と中学校が併合された、そうお父さんに聞かされた。

やがて、食卓にお父さんの料理も運ばれてくる。

「おぉ、今日は珍しく豪華な食事じゃないか」
「そりゃあなた、久しぶりに来羽が帰ってきたんだもの」
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