私の嘘は、キミのせい。
「奈々佳、ちょっと行こう。二人っきりで話そう!」
「え、綾乃……」
気付かれてたんだ。私が暗い気持ちになってること。
だって、綾乃は優しげに笑ってるから。
「奈々佳も綾乃も、俺が来た途端にいなくなるとか…。結構傷つくんだぞ~」
要が、冗談交じりに言う。
要、私だって傷ついてるよ。……隠してるから、知らないだろうけど。
「ガールズトーク!ついて来ちゃダメだからね!」
綾乃の声に、渋々といった感じで要が黙る。
ついて、来ないでね。
私も心の中で、ひっそりと呟いた。
ごめん、要。
ありがとう、綾乃。
大好きだよ。
……二人とも。
そして私たちは先生に注意されながらも廊下を走って、やって来たのは屋上───に続く階段。
「奈々佳、HRと一時間目の授業、サボろっか!」
「いや、綾乃まで巻き込むわけには……」
「私がそうしたいの。ね、いいでしょ?」
そんなに爛々とした目で見られては頷くほかない。
「……仕方ないなあ」
なんて言うけど、それは“私のために”なんだよね。私も素直じゃないな。…可愛くない。
それなのに綾乃は、満足そうに笑うんだ。