私の嘘は、キミのせい。



綾乃みたいだったらよかったのに。

綾乃みたいに、素直で可愛くて、思ったことを言えて。

私とは大違い。……羨ましい。


……なんて、思ってるだけじゃ手に入るわけないのに、どうしても願ってしまう。思ってしまう。


……夢見てしまう。

要と私が、恋人同士になってる未来を。


そんなもの来るはずないから、余計に虚しくなるだけなのに。

……馬鹿みたいだ。


私が考えてる汚いことなんて、綾乃には届いてないから。

だから、綾乃はそんなに今も笑っていられるんでしょ?

…きっと、ほんとの私を知ったら、幻滅させちゃう。


だから、さ。

私は今日も、ほんとのことは言えないままなんだ。

……こんなんで“親友だ”なんて思ってるなんて、それだってバカみたい。


「要のバカ野郎~!」
「ちょ、綾乃、階段なのに叫ばない!響くから!」
「だいじょーぶ!誰もいないよ!」


いや、誰かいるとかいないとか、そういう話じゃなくて。

ただ、響いてるから、私たちの耳にもよろしくないよ……ってことなんだけど。

それでも、思いっ切り叫んで、屈託のない笑顔を見せる綾乃に、救われてるのもまた事実で。

……眩しい、って思う。


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