私の嘘は、キミのせい。
「私ね。奈々佳が悪の手先になったとしても、奈々佳の味方でいるよ」
「なにそれ」
どんな状況なの、それ。
思わず笑いそうになるのをグッとこらえて、ポーカーフェイスのまま、なんでもないフリをする。
そうだよ。
これは、悪い気持ちだもん。
好きな人の幸せを願えないなんて、酷いにも程がある。
……要が花宮さんのことを好きになるずっと前から、私は要のことを好きだったけど。
恋に時間なんか関係ない……って、ほんと、その通りだよ。
「気持ちなんてコントロールできるものじゃないもん。悪いものなんてないんだよ」
……それは知ってるけど。
当事者ってなると、どうしてもそうは思えなくて。
厄介だな、って思う。
「なーんてね。本に書いてあったのを思い出したから声に出しただけだよ」
綾乃は、私なんかよりずっと大人で。
時々、私は置いてかれちゃうんじゃないかって、焦る。
私を励ましてるのを悟られないように……ってしてるのが、ちゃんとわかる。
そしてきっと、綾乃は、私がそれをわかってることをわかってる。