私の嘘は、キミのせい。



「私ね。奈々佳が悪の手先になったとしても、奈々佳の味方でいるよ」
「なにそれ」



どんな状況なの、それ。
思わず笑いそうになるのをグッとこらえて、ポーカーフェイスのまま、なんでもないフリをする。


そうだよ。
これは、悪い気持ちだもん。

好きな人の幸せを願えないなんて、酷いにも程がある。


……要が花宮さんのことを好きになるずっと前から、私は要のことを好きだったけど。

恋に時間なんか関係ない……って、ほんと、その通りだよ。



「気持ちなんてコントロールできるものじゃないもん。悪いものなんてないんだよ」



……それは知ってるけど。
当事者ってなると、どうしてもそうは思えなくて。

厄介だな、って思う。



「なーんてね。本に書いてあったのを思い出したから声に出しただけだよ」



綾乃は、私なんかよりずっと大人で。
時々、私は置いてかれちゃうんじゃないかって、焦る。

私を励ましてるのを悟られないように……ってしてるのが、ちゃんとわかる。

そしてきっと、綾乃は、私がそれをわかってることをわかってる。


< 19 / 46 >

この作品をシェア

pagetop