私の嘘は、キミのせい。
キミには、ヒミツ
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向井奈々佳さん
昼休み、校舎裏まで来てください
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次の日の朝、いつものように登校してくると、てんな手紙が靴箱に入っていた。
手紙と言っていいのかもわからない、一枚のルーズリーフに書かれている、メモに近いようなもの。
だけど、書かれた文字は綺麗だった。
多分、この学校で“向井奈々佳”は、私ひとりだけ……のはず。
「……これは、」
「どうしたの?」
「ひゃあ!」
一緒に来た綾乃に、急に後ろから声をかけられてびっくりして、思わず出た変な声。
その声に綾乃も驚いてる。ごめん。
「なんでもないよ?今日の朝ごはんのこと考えてたの」
「そーなの?へー、なに食べたの?」
「レーズン入り食パン」
「あ、奈々佳の好物だもんね!」
「うん」
レーズン入り食パンを食べてきたのは、本当のこと。
だけど、私が唸ってたのはもちろん、そんなことなんかじゃなく、ルーズリーフのことだ。
差出人の名前は書かれてないから、これがどんな手紙なのかもわからない。
だから、行くべきかどうか迷う。
……でも。
これを書いた人はきっと、私が登校してくる前……もしくは、昨日私が帰ったあとに、わざわざこれを入れたってことだ。
行かないのは失礼かな。