私の嘘は、キミのせい。



「なーなか」
「ん?」
「それ、手に持ってるのなあに?」
「え、」



しまった、言わないつもりでいたんだけど、隠すの忘れてた。

ほんと私ってバカ。

心配かけるだろうから、綾乃とか大輝には言わないって決めたのに。

もちろん要にもだけど、きっと要はそんなこと、気にしてくれないもん。

気にされたらされたで、きっとツラいんだろうけど。友達としての心配なら、欲しくない。



「靴箱に、入ってたんだけど……」



観念して、四つ折りのルーズリーフを綾乃に見せる。



「もしかして、果たし状みたいなものなのかな」
「奈々佳、なんでそんな発想になるの?」

「え?だって、要とか大輝って整った顔してるし、モテるでしょ?それで、彼女でもなんでもない私が二人の近くにいるの、気に入らない女の子もいるんじゃないかな……って」



実際、要や大輝のファンの子たちには、いつも冷たい目で見られる。

……もう慣れちゃったけど。


< 22 / 46 >

この作品をシェア

pagetop