私の嘘は、キミのせい。
「なーなか」
「ん?」
「それ、手に持ってるのなあに?」
「え、」
しまった、言わないつもりでいたんだけど、隠すの忘れてた。
ほんと私ってバカ。
心配かけるだろうから、綾乃とか大輝には言わないって決めたのに。
もちろん要にもだけど、きっと要はそんなこと、気にしてくれないもん。
気にされたらされたで、きっとツラいんだろうけど。友達としての心配なら、欲しくない。
「靴箱に、入ってたんだけど……」
観念して、四つ折りのルーズリーフを綾乃に見せる。
「もしかして、果たし状みたいなものなのかな」
「奈々佳、なんでそんな発想になるの?」
「え?だって、要とか大輝って整った顔してるし、モテるでしょ?それで、彼女でもなんでもない私が二人の近くにいるの、気に入らない女の子もいるんじゃないかな……って」
実際、要や大輝のファンの子たちには、いつも冷たい目で見られる。
……もう慣れちゃったけど。