私の嘘は、キミのせい。



……でも、心配されてることが伝わってくるから、それは素直に嬉しい。

なのに、“私なんか心配しなくていいから、ほっといて”なんて思ってる私もいて……矛盾してて、自分が気持ち悪かったりもする。



「とりあえず、悪いことじゃないといいな」
「そーだね。奈々佳に危害加えようとする奴はぶっ飛ばすから安心してね?」
「………うん」



色んな意味で安心できないけど、うん。まぁいいや。

暴走した綾乃を止められるのは、大輝だけだ。

ぶっ飛ばすとか怖いワードが出たのも、きっと気のせい……だよね?気のせいじゃないか。



「…でも、ちょっと楽しみかな」
「なんで!?」
「なにがあっても、しばらく他のこと考えてられるだろうから」
「奈々佳……」



それは、言わずもがな要のこと。

たとえ、“落し物拾った”なんていう用事だったとしても、しばらくはそのことを考えられるだろう。ありがたい。



「なーんてね。言ってみただけだよ、綾乃」
「それ、昨日の私の真似?」
「よくわかってるね」



さすが綾乃。勘が鋭い。

きっと、私が言った意味がわかったから、あんな不安そうな顔をしたんだろう。
綾乃は安心させてあげないと。


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