私の嘘は、キミのせい。
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今日もいつも通り、苦痛の時間が過ぎていく。
それだって、前は苦痛なんかじゃなくて、むしろ楽しかったんだけど。
【俺、今度告白しようと思うんだ】
そんなメモが左隣なら投げられてきたのは、声からマイナスイオンが出てそうなくらい優しげな声のおじいちゃん先生の授業中だった。ちなみに物理。
おじいちゃん先生は、あまり気にしてないのか見えてないのか、とにかく基本誰かを注意したりしないから、結構この時間はみんなやりたい放題だ。
例に漏れず、私や要もそうで、メモのやり取りは毎日のようにしている。
その時間が、嬉しくて楽しくて、ずっと物理でいいと思ったくらい。
……でも、今は。
【花宮さんに?】
ただひたすら、憂鬱で苦痛の時間。
最近、花宮さんの話ばっかりだ。
今だって、書いたばかりの“花宮さん”というところを消して、どう返事したら要から決定的な言葉が返ってこないか……って、そんなことばっかり考えてる。
本当は、“告白なんかまだ早いよ”って書きたいけど、そもそも花宮さんは要のこと知らないだろうから、知ってもらうにはいい機会なのかもしれない。
……って、なんで二人が上手くいくように考えてるんだろう。ツラいだけなのに。
でも、要の恋路を邪魔する権利なんて、私にはない。