私の嘘は、キミのせい。



授業が終わって。



「あー、眠かったー」

「次の数学頑張れば昼休みだ……」
「あ、トイレ行かなきゃ!」



なーんていう、クラスのざわめき。

生憎、今の私は、そんな風に喋るような気分にもなれず。



「……なんだよ、あれ」



不機嫌そうな要にどう対処しようか……と、それだけ考えていた。


要は、感情がとても顔に出るタイプだ。
表情筋が素直なんだよ、きっと。

噓ばっかりついてる私とは大違いで、要はいつだって真っ直ぐだ。真っ直ぐすぎるくらい。



「……なんのこと?」



とりあえず、とぼけたフリをしてみる。



「“バカ”って、わざわざ書く必要ねーじゃん。俺がバカなのは、テスト前に毎回身に染みてるだろ?」
「そーだね。でも、なんとなく」
「ひどい。奈々佳ひどい」



ほら。そーゆーところが、バカ。

私が言ってるのは、テストの成績じゃないよ。要はテストの成績もよくないから、どっちの意味でもバカって言えるけど。


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