私の嘘は、キミのせい。



そのことを要に知られるわけにはいかなくて、でも知っていてほしい気持ちもあって、自分で自分がよくわからない。

恋愛って面倒だ。



“要を親友だと思ったことなんてないよ”



そんなこと、言えなくて。



「残念でしたー。私の親友は綾乃でーす」
「はっ?ちょ、俺は?」

「………」
「いやいやいや、ふつーに傷付くんだけど、綾乃に負けるとか」



それはそれで綾乃に失礼では?


……それに、どうせ冗談のくせに。本心じゃないなら黙っててよ。



「早くお昼休みにならないかなー」
「え、無視?マジで?」

「おなかすいたー」
「ちょっ、奈々佳サーン」



……でも、いいんだよね、これで。

私が我慢すれば、この気持ちを仕舞っておけば。要が困ることだってない。今の関係を続けられる。私が要と気まずくなって、話せなくなるなんてこともない。


カラ元気でも、作り笑いでも
元気なのには変わりないし、笑ってるのに変わりない。


───がんばれ、わたし。

要にバレないように。今の状態を守れるように。


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