私の嘘は、キミのせい。









教室に戻ると、大輝が既にそこにいた。

だけどなんだか、様子がおかしい。

珍しく、綾乃が大輝にお説教してるように見える。いつもはハチャメチャな綾乃が怒られるから逆なのに。



「ただいま。……綾乃、どうしたの?」

「聞いてよ奈々佳!大輝がホントにトイレ行ってた!」
「……そ、そう」



それのどこに怒る要素があるんだろう?
そう思ったけど、私は気づく。


つまり、さっき私が告白されてたときに大輝はいなかったんだ。

なるほど。私を守るために……って言い方は恥ずかしいけど、そのために大輝を行かせたと思ったら行ってなかった、と。


私はそんなの気にしないけど、綾乃は怒るよなあ、そりゃあ。



「綾乃ちょっと理不尽じゃね?カルシウム足りてねーの?」
「要、これはそういうことじゃなくて……」



大輝が頼まれたことをやってなかったってことに、綾乃は怒ってるんだよ。

そう言おうとしたところで、やめた。


要のことだ。

“なんで奈々佳がそれ知ってるのに俺は知らないんだ?頼みごとって?”

なんて言いそうだから。そこまで突っ込まれたら、上手く誤魔化せる自信がない。


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