私の嘘は、キミのせい。



気も合うからずっと一緒にいて、気付いたら好きな人だった。


そして、正直に言うと“仲のいい友達”というポジションに、あぐらをかいていた。

甘えてたんだ。私が、要の一番近くにいることに。だから、勝手に「大丈夫だ」なんて思ってた。


そしたら、告白もしないまま、要には“私じゃない”好きな人ができてた。

馬鹿だなあ、自分。せめて告白くらいすればよかった。

そうしたら、要が花宮さんを見る()は、私に向けられていたかもしれないのに。



「ほんと、ばかだなぁ……」
「どーした、奈々佳?なんの話?」



……キミの話。

なんて、言えないから。



「んーん。要には関係ない」
「なにそれ、ひどくね?」



こんなこと言ったって、困らせるだけでしょ。


だからむしろ、これは私の気遣い───

……なんて、違うな。
こんなの、ただの言い訳にしか過ぎない。

告白して、フラれて、傷つくのが怖いだけ。


私は、ちっぽけでちっぽけで、ちっぽけな───馬鹿な臆病者。


< 4 / 46 >

この作品をシェア

pagetop