私の嘘は、キミのせい。
まあ、要のことだから深い意味なんてないんだろうけど。
“私の作った”卵焼きだからほしい……なんて、そんな都合いい思考回路あるわけない。だって要だし。
「……隙ありっ!」
「……え?って、あ、ちょっと~!」
目の前には、満足そうに卵焼きを頬張る要。そして、私のお弁当箱から消えた卵焼き。
せっかく作ったのに。しかも今日はいつもより綺麗にできたのに。楽しみにしてたのに。最悪だ。
「うっま」
「…………」
要、許すまじ。
私の卵焼きを横取りした罪は重い。
しばらく口利いてあげない。少しくらい焦ればいい。
……花宮さんの話だって、聞いてあげないんだから。
「……え、まじ、奈々佳……激おこ?」
「……」
「ごめん!購買の幻のプリン……」
いらないよ。それは要が食べたいものでしょ。私は自分で食べたいときは自分で買う主義だし。
……それとも、私を花宮さんか誰かと勘違いしてるのかな。だとしたら最低。
……なんて。こんなひねくれた考え方しかできない自分が、いちばん最低だよね。