私の嘘は、キミのせい。





「奈々佳ぁ……」



情けない声で私の名前を呼ぶ要。

そんな声で、ケンカしていた綾乃と大輝も、ようやくこの状況に気付いたみたい。



「……どうしたんだ要」

「おれが勝手に奈々佳の卵焼き食べたから奈々佳激おこ……」
「それは全面的に要が悪い」



大輝に追い討ちをかけられ、さらにシュンとする要。そうだよ、ちゃんと反省して。

それでも、「でも……」と言葉を続けようとする要に、綾乃が鋭い視線を送る。



「……“でも”?」
「奈々佳の卵焼きはマジでうまい……」



それはそれはどうもありがとうだけど。

でもそんな言葉で絆される私じゃないからね。しばらく許してあげない。

卵焼きひとつで怒るなんて大人げないことはわかってる。だけど、私は卵焼きを食べられたから怒ってるわけじゃない。



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