君の手が道しるべ
でも、梨花の反応は意外にあっさりしていた。

「そうなんだ。大倉主査、運用課にいたことあるのに、同席依頼してくるなんて真面目ですねぇ」

　そう。大倉主査は運用課の経験があるから、別に私なんて同席しなくたって自分で運用提案できる。

　なのにどうして運用課の私を同席させるかと言えば、それはもうただ単に法令上の規制があるからだ。

　融資課の人間は運用の話をしちゃいけない、運用の話をしてる場所にもいちゃいけない。そういう決まりなのだ。

「まあ、本来、そういう規定だからね」

私がやんわりと答えると、梨花は聞こえなかったのか聞こえないふりをしたのか、特に反応することもなく自分の席に戻った。

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