君の手が道しるべ
「太田様。私たち、今日はこれで失礼させていただきます」
「えっ?」
そう言ったのはもちろん太田さんではなく梨花の方で、太田さんは伏せていた目をゆっくりと上げて私を見た。私は静かに言った。
「もし、私たちのご提案に関心を持っていただけたなら、ぜひご連絡ください。その際には私たち喜んでまた参ります。でも、もし……太田様がそのようなお気持ちにならなければ、無理してお付き合いいただかなくてもいいんですよ」
「永瀬調査役、ちょっと何言って……」
梨花が腰を浮かせて咎めるような声を出す。私はそれを無視して続けた。
「大切なご資金をお預け入れいただいて、今日も私たちのためにお時間を割いていただいてありがとうございました。ぜひ、藤柳の提案、前向きにご検討下さいませ」
そう言って頭を下げる。太田さんは何も言わずに、じっと私を見ていた。
「えっ?」
そう言ったのはもちろん太田さんではなく梨花の方で、太田さんは伏せていた目をゆっくりと上げて私を見た。私は静かに言った。
「もし、私たちのご提案に関心を持っていただけたなら、ぜひご連絡ください。その際には私たち喜んでまた参ります。でも、もし……太田様がそのようなお気持ちにならなければ、無理してお付き合いいただかなくてもいいんですよ」
「永瀬調査役、ちょっと何言って……」
梨花が腰を浮かせて咎めるような声を出す。私はそれを無視して続けた。
「大切なご資金をお預け入れいただいて、今日も私たちのためにお時間を割いていただいてありがとうございました。ぜひ、藤柳の提案、前向きにご検討下さいませ」
そう言って頭を下げる。太田さんは何も言わずに、じっと私を見ていた。