3次元の恋~オタクの恋物語~

『南雲建設の息子はさすがだな。』
『彼が社長になっても安泰だ。』
『本当に出来の良い息子だ。』

悪口なんて1つも聞こえてこない。
今の南雲さんが、正真正銘の
完璧な御曹司なのだろう。

でも...気持ち悪い。
初めて出会った日のようで。
本当に気持ち悪い。

久しぶりに南雲さんの事をそう思った。

社員「常務も大変だよね。
あの社長の下で働かなきゃなんないの。」
社員「確かに。いくら父親でも酷いわ。
私だったら耐えられない。」

私よりも確実に高価で豪華な衣装に
身を包む、スレンダーな女の人達が
ワイン片手に談笑してる声が聞こえた。

賞賛ではない。所謂、悪口が。

普段は聞きたくないと耳を塞ぐ所だけど
どうにも聞きたいと思ってしまう。
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