3次元の恋~オタクの恋物語~
パーティー会場で完璧だと
賞賛される南雲さんを見て確かに感じた。
これが、きっと。劣等感というやつだ。
相応しくない。という言葉が
真っ先に思い浮かんだ。
そして、それと同じ事を
きっと、南雲さんはずっと感じていた。
相応しくないと分かっていながら
南雲さんは、私を好きになろうと
努力してくれていた。
お父さんに愛されたくて。
お父さんを喜ばせたくて。
お父さんの期待に答えたくて。
私以外の好きな人への気持ちを
抑え込んで言いなりになろうとしていた。
また、お父さんの言いなりに。
だからこそ、見過ごせなかった。
やっぱり、私は人間らしい
南雲さんが好きだから。離れる事を選んだ。
私が望んだ事なのにどうしようもなく
悲しくて、涙が溢れ出した。