3次元の恋~オタクの恋物語~

もう会えない。誠実なあの人と。
いつも私の事を知ろうと
努力してくれた、あの人と。

興味もないのに乙ゲーを始めて
新しいソフトまで買ってくれた
優しいあの人と会えない。

でも、悲しくてもこれが分岐点なんだ。

それぞれのハッピーエンドへと
続く道がその先にあると信じて
前に進むしかないのだ。

涙を拭い、階段を登る。
その1歩に力を込めて。
今、私は前に進んでいると
自分自身に言い聞かせて。

階段を登りきり、4つめのドア。
つまり、私の部屋の前には
スラッとしたスーツ姿の人物がいた。

青葉「……大高…」

大高がこうして私の部屋まで来るのは
随分と久しぶりで、こうして2人で
話すのも随分と久しぶりだった。
< 392 / 433 >

この作品をシェア

pagetop