君と描く花言葉。
「これ、エリカちゃんにあげる!
素敵な絵のお礼に、もらってちょうだい?」
「えっ!そんな、いいですよ!
私も楽しくてやったことですし……」
「いいのよいいのよ、私が貰って欲しいんだから!
このお花ねえ、きっと綺麗に咲くわ。
だから、大事にお世話してくれそうなエリカちゃんに育てて欲しいの」
「月森さん……」
「エリカさん。よかったらもらってやってくれないか。
なに、遠慮はいらない。また来てくれればいいんだ。今度は栄養剤でも買いにね」
「ちょっと祥太郎さん!私はそういうつもりであげるんじゃないのよ!」
「ふふ、あはは!わかりました。じゃあ、ありがたくいただきますね。それで、また来ます!」
「もう、エリカちゃんも真に受けなくていいのよ?
栄養剤が欲しくなったらあげるのに」
「いえ、買いに来ますよ。
私、このお店のお得意様になりたいですから」
「あらあら……嬉しいわねえ。
……わかったわ。それじゃあ、大切に育ててあげてね」
「はい!」
月森さんから貰った鉢植えには、ずっしりとした重みがあった。
それをしっかりと抱えて、店を出る。
お見送りには月森さんだけじゃなくて、なんと祥太郎さんまでついてきてくれた。