君と描く花言葉。



「ありがとうございました〜。
エリカちゃん、またいらっしゃいね!」


「こちらこそありがとうございました!
はい、また必ず!」



2人が店先で手を振って見送ってくれているのに、ぺこりとお辞儀をして歩き始める。




はあ……本当に良いところだったなあ。



チラシ、喜んでもらえてよかった。


次にフラワーフロアに来た子供たちに気に入ってもらえるといいな。



それにしても、すごいもの貰っちゃったなぁ。


このエリカはどんな風に咲くんだろう?


考えただけで、今からワクワクしちゃうよ。




幸せな気分のまま温室の前までたどり着いて、はたと気付く。


しまった。……両手が塞がってて、扉が開けられない。



……セイジはまだマーガレットを描いてる途中だろうか。


邪魔しちゃうのは少し申し訳ないけど……ずっと立ってるわけにもいかないよね。



仕方なく温室の隣の家に近寄って、足で一瞬鉢植えを支えた隙に素早くインターホンを押す。




ピンポーン…………



どこにでもあるようなその音を、ここで聞いたのは初めてだ。


もう何回も来てるのにね。


気分がふわふわしてたからか、そんなことでもふふっと笑ってしまう。



セイジ、驚くかなあ。




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