君と描く花言葉。




ドキン、ドキンと心臓が鳴っている。



ど……どうしよう……。


今までこんなに至近距離で男の子と見つめ合うことなんてなかったから、どうしていいかわからないよ。


ずっとセイジの目を見つめているのも恥ずかしくなってきて、つい顔をうつむける。



「っ!」



そうしたら、スッと。セイジの手が頰に添えられて。


そのまま優しく顔を挟まれて、上を向かされた。



え……えっ、え?



これ、ドラマとかで。よく見るやつだ。



大体、き……キスシーン、で。



自分でも、身体がカチコチに固まっているのがわかる。



なに、これ……。


なんか……なんか、顔が熱い。



「エリカ……」


「え、……あ…………」



いつもより少しだけ低いセイジの声に、ギュッと心臓を掴まれたみたいな感じがした。


……なに、今の……?


初めての感覚に戸惑った私は声も出せなくて、ただ目の前のセイジを見つめる。



……恥ずかしい。けど、そらせない。



どうしよう、私…………?







セイジは、そのまましばらく私を覗き込んでいたけど。



「…………っ、ごめん……!」



いきなり我に返ったように目を見開いて、パッと手を離した。


後ろに下がったセイジとの間に、一歩分の隙間が開く。



少し、肌寒くなったような気がした。



< 104 / 165 >

この作品をシェア

pagetop