君と描く花言葉。
……こういうこと、たまにあるんだよね。
いきなりぷっつり言葉が切れるものだから、最初のうちはその度に不思議に思ってセイジを振り返ったものだけど。
その時のセイジの顔は、決まって綺麗だった。
生き生きとしていて、真剣で、楽しそうで、一生懸命。
それを見る度、なんだか胸が暖かくなった。
確かに学校でもセイジはいつも絵に夢中になってるけど、やっぱりアトリエでの方がもっと身が入ってる気がして。
私はアトリエで絵を描くセイジの姿を見るのが好きだ。
陽の光も相まって、すべてがキラキラして見えるから。
ぴかぴかの宝石が詰まった瓶の中を覗いてるみたいな気分になれる。
だから私、ここにいたい。
セイジと気まずい雰囲気にはなりたくない。
今までと同じように、2人で笑い合いたいから。
手を動かし続けるセイジの後ろで、私はこっそりと手で頰をパタパタあおいで、なんとかそこに溜まった熱を冷まそうとする。
次セイジが振り向いた時、私もいつも通りでいられるように。
不規則に動いた心臓は、見なかったことにしよう。
セイジの絵の邪魔にはなりたくないもん。
キャンバスに向かったセイジの耳が赤くなっているのに、私はまだ気付かない。