君と描く花言葉。
どうして?なんで?
成宮くんが描くと、全然違う色でもそう見えるのに。
なんで私のは、こんなに違うの?
成宮くんと同じ色を使ったはずなのに。
ちゃんと真似をしたはずなのに。
どこが間違ってるのかすらわからないよ。
やっぱり、見えない人には描けないっていうの?
そんなの……不平等だよ。
才能ばっかり賞賛されて、ずるいよ。
才能があればその他なんて二の次だもんね。
ぐるぐると考えているうちになんだかバカバカしくなってきて、私のちぐはぐなガーベラは破り捨ててしまった。
やめよう。私には無理だ。
私の世界は、芸術の色を映し出してはくれない。
そもそも、私の描きたいニゲラは、ちぐはぐな色ではなかったし。
紫とか赤とかが混じってはいたけれど、ベースはちゃんと青色だったもん。
成宮くんの絵はたしかにすごいと思うけれど。
私の憧れは成宮くんじゃなくて、あの金賞の絵だから。
そう、自分を納得させるしかなかった。
彼には『特別』があって、私にはなくて。
ずるいなあ。私も欲しいよ。
どれだけ頑張ったって、どれだけ望んだって手に入らないそれを、生まれつき持っていたかった。
それを持っていたら、私もみんなに認めてもらえた?
……そんなどうしようもないことを思い続ける私って、一体なんなんだろう。
そう考えると、この1週間必死に描いてきたニゲラを、思いっきり黒く塗りつぶしてやりたい衝動に駆られた。