君と描く花言葉。



言うだけ言ってセイジの方に近付くことはなく、私たちは少し離れた場所で画材を用意し始める。



……これもまた、なんでかっていうはっきりした理由はないんだけど。


私とセイジは、学校では必要以上には話さない。



もちろん避けてるわけでもないし、故意に喋らないようにしているとか、隠さなきゃいけない理由があるとかっていうわけでもない。



ただ、なんとなく。


お互いに、『また日曜日に』っていう暗黙の了解みたいなのがある。



毎週日曜日、きらきらの異世界みたいな温室で、2人だけの秘密の時間。


そんな雰囲気が、なんだか心地よかった。



次、セイジの家に行くのが楽しみで仕方ない。


学校で話さない分余計にかな。



セイジは……どう思っているのかわからないけれど。


いつも笑って出迎えてくれるから、少しは楽しみにしてくれてるんだって思ってもいいかなぁ?



こないだ描き始めたマーガレットもセイジが言い始めたことだし、私が来るのが当たり前になってた、とか言ってくれたし。


思っても、いいよね……。









…………何考えてるんだろう、私。



この想いは隠すって決めたのに。


好きだって自覚した途端、むしろなんだかずっとセイジのこと考えてない?



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