君と描く花言葉。



「…………」


「ん?」



ふと、横から視線を感じることに気付いて、思考をやめる。


じーっとこっちを見つめる高ちゃんと目があった。


目があっても何か言うわけでもなく、高ちゃんはずっと私を見続ける。



「えーっと。何?」


「いや?なんか、百面相してるなって」


「えっ。私、そんな顔に出てた?」


「ううん。全く出てない。ずっと無表情。
でもなんか、心の中で百面相してる気がした」


「なにそれ怖。人の心の中覗かないでよ」


「心の友ってやつさ」


「心の友でも心は読めません」


「あたしのパワーを持ってすれば余裕です」


「怖」


「ちょっとちょっと。遠ざかるのはなしでしょ」


「あはは」



笑いながら、高ちゃんがいる方向とは逆方向に一回引いた椅子を元に戻す。


気を付けなくちゃ。


高ちゃん、結構鋭いところあるし。


特に恋愛ごとだと、サラッと言い当ててきそうで怖い。


多分セイジのことを目で追ったりなんかしたら、すぐにバレちゃうんだろうな。



見ないようにしないと。


次の日曜までの我慢だ。


そうしたら、またあの場所で会えるから。



…………ふふ。


次の日曜が、楽しみだなぁ。




< 116 / 165 >

この作品をシェア

pagetop