君と描く花言葉。




自覚した後……だからだろうか。



初めて手を繋いだのは、つい先週、のはずだ。



その時は平気だったのに、今は触れただけで意識してしまう。




あの時は手を伸ばされたから、自然にその上に手を置いていた。


今思えば、セイジはどうして私に手を差し出したんだろう?







ふと、出会ったばかりの頃を思い出した。



お母さんに頼まれた化粧品を買いに、二人で道を歩いた時のこと。



セイジの頰に絵の具が付いていて、それで、取ろうとして……手を払われた時のこと。





そうだ。そういえばセイジは、人に触れるのが苦手なんじゃなかったっけ?



確か、そう言っていた気がする。



なのに、どうして。


先週だけじゃなくて、今も触れてきたの……?





暴れ続けている心臓を抑えるように、ぎゅっと握った拳を胸元に当てる。



やめてよ……。


期待、しちゃうじゃん。




もしかしたら、セイジにとっては深い意味なんてないのかもしれない。


だってほら、さっきすれ違った幼馴染の子。すごい可愛かったもん。



あんな子と仲が良かったら、このくらい意識もしないのかも。


男の子に慣れていない私の価値観とは違って……案外、普通の男女間の友情ってこんなものだったりして。



今まで仲のいい男の子なんていなかったから、わからないけど。





なんて、なんとか色々言い訳を並べて、深呼吸をする。



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