君と描く花言葉。
「エリカ、どうかした?」
「あ…………ううん。
なんで、そんなに描けるのかなって」
「そんなに、って」
「私、絵の具渡しただけなのに。
そのマーガレット、私のだよ」
言ったそばから、セイジがパッと目を輝かせる。
まるで親に褒められた子供みたいだ。
嬉しそうなその顔が、ふにゃりと歪む。
「本当?エリカのマーガレットも、こんな感じ?」
「うん。ほとんどそのまま」
「そう……そうなんだ。……ふふ、嬉しいな」
心なしか浮き足立った様子で家に続く扉を開けたあとを追って、家に入る。
相変わらず真っ暗だったけど、さすがにもう慣れた。
怖くもないし、大体のものの配置もわかるから必死に暗闇の中に目を凝らすこともない。
ギシギシと軋む廊下の板が、私を導いてくれる。
セイジは二階に続く階段横を通り過ぎ、ちょいちょいと手招きした。
そちらはぱっと見行き止まりで、階段下からは少しだけ荷物がはみ出ている。
てっきり荷物置き場になってるんだと思っていたけど……。
招かれるまま隣に並び、階段下の奥側には荷物が置かれていないことに気付く。
そして、その先には小さな扉があった。