君と描く花言葉。
以前の私は、確かにお手本に忠実な絵を描くことが多かった。
だって、何色を混ぜれば綺麗になるのかなんてわかんなかったから。
こないだニゲラを描こうとした時だって、青には紫が馴染みやすいよね、なんて安直な考えで、背伸びして紫を入れて失敗したくらいで。
それが、近頃はなんだか、この色をここに入れたら面白そうだな、なんて思うようになっていた。
私の世界を描いている時ほど大きな変化はないけれど、確実に現実とは違う色使いの画風。
それが妙にしっくりきた。
もしかしたら、今ニゲラを描いたら、それこそ納得のいくものが描けるのかもしれない。
でも、あの廊下に並ぶ作品たちがある今となっては、もう十分にあのニゲラ以上の感動を味わえる絵が存在している。
今更またニゲラを描こうなんて気は起こらなかった。
……どれもこれも、間違いなくセイジの影響だ。
そこに思い当たると、急になんだかにやけてしまいそうになる。
私にとって、セイジはもうこれでもかってくらい大きな存在だ。
セイジが自分に与えた影響を目の当たりにすると、嬉しいような、恥ずかしいような、よくわからない気持ちになる。
その変化が、セイジとの繋がりを証明してくれているような気がして、心地がいい。
そしてあわよくば……私も彼に何か影響を与えているならいいなと、少し欲張りな考えが湧いて出た。