君と描く花言葉。
「やっぱすごいや……今回も金賞間違いなしだね!」
「いやほんと、これで金賞じゃなかったら審査員の見る目がないって!」
「マジそれな〜?」
そっとセイジの方を覗き見ると、ちょうどセイジも絵が完成したところのようで、周りの部員がわいわいと騒いでいた。
あ、セイジ、困ってる。
学校にいるセイジは温室にいる時よりもずっとずっと無表情だけれど、それでもなんとなく感情がわかった。
昔は何を考えているのか全然わかんないなと思っていたものだけど、セイジは元来素直な表現をする方だし、そうしていない時だってよく見たらちゃんと変化がある。
私がただ目を逸らしていただけだ。
「……そんなことはないよ。
それじゃ、先生に見せに行くから」
返答に困ったセイジはそれだけポツリと言い残して、先生のもとへと逃げていった。
間違いなくセイジの絵はすごいし、私もきっと金賞なのだろうなと思うけれど、面と向かってそう言われる気苦労は計り知れない。
だってこんなにもてはやされておいて、もし何かの間違いで金賞を逃したら、何を言われるのか、どう思われるのか。
そのプレッシャーを常に背負いながら絵を描いているのだと思うと、なるほど確かに、他の人から見られながら描くくらいはなんてことないのだろうなと思った。