君と描く花言葉。



セイジって、告白されたことはあるのかな。


誰かと付き合ってたこと、あるのかな。


絵以外のことには無頓着で、でも幼馴染だという女の子が連れ回す時はちゃんと荷物持ちに付き合ってあげるらしくて、そして温室にいる時は無邪気で優しくて柔らかい。


そんなセイジが好きになるのはどういう人なんだろう。


好きな人の前ではどんな感じなんだろう。




……今の子、同じクラスなんだ。


いいなあ。


クラスの中のセイジは、どんな風なんだろう。



告白は……するんだろうか。


もし告白して、成功してしまえば、きっともう私はあの温室には行けなくなる。


今の特等席には、いられなくなる。


だってそもそも私が今あそこにいられるのは、私がいることで描ける絵の幅が広がっているから、セイジはそれを面白がっているのであって。


彼女ができたら、その役目は彼女のものになるのだろう。


その前に、その目新しさがなくなって、役目自体がなくなる可能性だってある。


恋愛的な要素のない、絵だけで繋がった関係。




胸が、チクリとした。





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