君と描く花言葉。



「……騒がしくてごめん。
俺がいない間、大丈夫だった?」


「えと……泥棒と思われかけてたから、帰ってきてくれて助かったかも」


「うわ、ごめん……。
あの通り、結構思い込みが激しいタイプだからさ。
もし何か変なこと言われたら、遠慮なく言い返すか、俺に言ってね。ちゃんと否定しとかないとそのまま突き進んで拗れていくから」


「あはは……そんな感じする」



苦笑しつつそう返してから、はたと気づく。





……それじゃあ、“彼女”を否定しなかったのは、どうしてなんだろう。






亜希奈さんを誤解しやすいというセイジ。


言い返さないと拗れていくというセイジ。


それなのに、否定しなかったセイジ。



ラフに遊びにきている感じを見るに頻繁に会っていそうだし、もしかしたら後で否定しておけばいいかと思ったのかもしれない。


もしくは、セイジにとっては“彼女”なんて言葉はそれほど重要なものじゃなくて、否定するほど興味がないのかも。



可能性は色々と思いつく。


だけど、もし。


セイジも、私と同じだったら、なんて。


そう考えてしまうのは、都合が良すぎるだろうか。



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