君と描く花言葉。
……私の絵なんて見なくていいのに。
成宮くんだって、昨日のスミレ、まだ書き終わってなかったでしょ?
なら、私の絵なんか見てないで、早く描き始めればいいじゃん。
どうせ、あなたの絵より何十倍も下手くそなんだからさ。
もやもやと心の中に霧が立ち込める感覚がする。
早く興味を失ってよ、なんて願いも虚しく、成宮くんが背後から立ち去る気配は一向にない。
「……エリカ」
彼は動きが止まった私の後ろで、ポツリとまた言葉をこぼす。
……何?
彼の意図がわからなくて、さらに混乱する。
名前を呼んだというより、ただ単語を呟いただけといった方が正しいような、そんな彼の声音に私は反応できないでいる。
完全に振り向くタイミングを逃してしまった私は、成宮くんの顔色さえ伺えずに固まっていることしかできない。
そして。
次の彼の呟きに、耳を疑うことになる。
「……孤独。……寂しさ」
「え…………」
……なんで。
どうして、彼の口からそんな単語が出てくるの?
どくん、どくんと心臓の音が大きくなる。
全身から汗が吹き出るような感覚がして、クラクラした。