君と描く花言葉。
「どうしても今買わなきゃダメ?
今日、出かけるつもりなかったんだけど」
「お願い!多めに渡すから、余ったお金で好きなもの買ってきていいし!
ファンデーションもうすぐ切れちゃうのよ〜!」
「はぁ……。今日の晩ご飯、卵焼き作ってよね」
「いつものやつね!了解!」
はぁ…………。
ウインクを残して慌ただしく洗面所に戻っていったお母さんに、再度ため息をつく。
いつもなら、日曜日なんてもっと遅くまで寝てるのに。
今日に限って朝の、まだお母さんが仕事に出かける前に起きてしまったのが運の尽きだ。
チラシに書いてある住所をスマホで調べてみると、高校とは逆方面で、距離的には高校よりも遠いらしかった。
私の家から高校までは電車込みで約30分。往復1時間。
それよりもかかるとか……今日は一日ゴロゴロする予定だったのに!
その店の最寄駅からもそこそこ歩くみたいだし、道に迷いそうだよ。
基本絵を描いたりとインドア派の私は、活動範囲が狭い。
だから余計、初めて行く場所なんて調べて行っても迷うことがある。
……方向音痴は否定しない。
だって、入り組んだ道の地図を見たって、わかんないじゃんそんなの。
最近のスマホは現在地を表示してくれるからなんとかなっているけど、紙の地図だったら絶対に迷う自信がある。
「じゃあお母さん行ってくるから!
テーブルにお金置いといたから、頼んだわよー!」
「はーい。いってらっしゃーい!」
玄関からの大声に返事を返して、時計を見る。
……お母さん、大丈夫かなぁ。
いつもお母さんが出かける時間より10分くらい遅いけど。
仕事に遅刻したりしないよね?
若干心配になりつつ、はぁ、と3度目のため息をつく。
外でお昼を食べるのも面倒だし、もうちょっとのんびりして、お昼を食べてからすぐに出かけようかな。
それでさっさと行って、さっさと終わらせよう。
善は急げって言うしね。
いや、こういう時に使うのが正しいのかはわからないし、全然急いでない気もするけど。
どうでもいいセルフツッコミをしながら、私はもう一度ベッドに顔を埋めた。