君と描く花言葉。



ちょっとでもカッコいいと思ってしまったことが悔しくて慌てて頭の中で否定していると、成宮くんから思わぬ言葉が飛び出た。



「エリカ……って、よく人にぶつかるの?」


「えっ。そ、そんなことはないけど……」


「そう?……俺、ついこないだもこんなことあった気がするから」


「うっ……それはその……なんか、ぼんやりしてる時に限って成宮くんが前にいてですね…」



……我ながら説得力ないな。


前回思いっきりぶつかったのはほんの数日前の話だし。


こんな短期間に二度もやっていたら、そう思うのも無理はないよね。



……いや、断固として否定しておきたいところではあるけど。



「っていうか。……もしかして今の、見てた?」


「……人の家、覗いてるのを?」


「…………あぁ〜……」



成宮くんの淡々とした返事に脱力する。



か、完全に見られてた……。


誰もいないと思ってたのに、知り合い……しかも、よりにもよってあの成宮くんがいたとは。


最悪だ。


例えるなら天敵に弱みを見せてしまったような、そんな気分。


恥ずかしい。『穴があったら入りたい』っていうのはこういう時に使うのか〜って納得しちゃうほど恥ずかしい。



私、完全に変な子確定じゃん……。


ただでさえ、ついこの間知り合った……というか、存在を認識されたばっかりなのに。


さっそく『エリカ=よく人にぶつかる、他人の家を覗いてたおかしい人』なんてイメージがついちゃうのは、天敵相手でもさすがに嫌だよ。


さっそくじゃなくても成宮くんじゃなくても、そんなの嫌だけど!


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