君と描く花言葉。
「しゃがんで」
「こ、こう?」
「もっと。俺の目線と合わせて」
椅子に座る成宮くんの顔の隣まで顔を持っていく。
私が座っているときよりは、少しだけ高い目線。
絵の具の匂いがちょっと濃くなった。
「それで、アマリリスを見て」
「うん……」
じーっとそのままアマリリスを見るけれど。
やっぱり、赤色以外には見えない。
「はい。目閉じて」
「へ?」
「目を閉じてアマリリスを見て。心で感じて」
こ、心で感じる??
疑問符を浮かべながらも、言われた通りに目を瞑ってみる。
何も見えなくて真っ暗な視界に、さっきまで見ていたアマリリスを想像してみた。
赤くて、綺麗なアマリリス。
おしゃべりするアマリリス。
女の子2人が並んで笑っているような、そんな花。
2人はなんの話をしてるのかな?
楽しそう。
想像の中のアマリリスが、ゆらゆら揺れる。
2人をずっと見ていると、だんだんその赤色が頬を染めた色のように見えてきて。
……もしかして、恋の話をしているの?
少しだけ、……ほんの少しだけ、ぼんやりと2人が淡いピンク色に見えた。