君と描く花言葉。




「……っふ、あはは……!」



私は、今まで一体何を見てたんだろう。


私が思い描いていた成宮くんの像は、本当に笑っちゃうくらいデタラメだった。



成宮くんを見ると、どうしても劣等感を感じちゃうから。


だから私は、彼を同じ人間だと思わないことにしていたんだ。



彼は人間じゃないからできる。


だから、私ができなくたって仕方ない。


そうやって、バカみたいな正当化をしてきた。



そんなこと、あるわけないのにね。


成宮くんも私も、普通の人間だ。



今なら素直に思えるよ。


成宮くんは、すごい人なんだ。本当に。



だって私……あんなに成宮くんに憎悪にも似た感情を向けてたはずなのに。


それなのに、今のたった一瞬で彼の魅力を理解できちゃったんだもん。



これは人気になるはずだよ。


才能があるからじゃなくて。


成宮くんと一緒にいると、自分が知らなかった新しい世界が見えるから。


だから、成宮くんは人を惹きつける。




「あはは!すごい!」


「そんなに楽しかった?」


「うん。あのね、世界がバーン!!って爆発した感じ!」


「……スケールでかいな」


「あはは!」



おかしな私の表現に苦笑しながらも柔らかく微笑む君は、私が今まで話した誰よりも眩しくて。


少しだけ、泣きそうになった。



変だなあ。


私、こういう変なこと、思ってても口には出さないようにしてるのに。


成宮くんの前だと、なんだか口に出してもいいんじゃないかって思ってしまう。



成宮くんは、ちゃんと私を受け入れてくれる気がして。


少しくらい変だって、私を嫌わないような気がして。



なんで私、あんなに成宮くんを敵視していたんだろう?


バカだなぁ。



自分と成宮くんを比べてばっかりで、勝手に劣等感を感じて傷付いてさ。


人それぞれ違うなんて、当たり前なのに。



数分前までの私がおかしくて堪らなくて……泣きそうになったのを隠したくて、またくすくすと笑いを漏らす。



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