君と描く花言葉。
ガタンッ!!!ガタガタッ!!
「な、何っ?」
突然成宮くんが入って行った家の方向からものすごい音がして、とっさに振り向く。
家への扉は閉まっているから、向こう側は見えない。
な、なんだろ?
成宮くんが何か落としたのかな。
にしてもすごい音だったけど……大丈夫かな……?
心配になって、扉に近付く。
人の家だし……勝手に入っちゃダメだよね。
……けど、成宮くんは私のためにイーゼルとかを取りに行ってくれているわけだし。
もしそれで怪我をしていたりしたら、ここで待ってなんていられないよ。
扉に耳を当てて中の様子を探ろうとしてみるけれど、物音1つ聞こえない。
本当に大丈夫かな……!?
いよいよ不安になってきて、ゆっくりとドアノブに手を伸ばす。
「っ……お邪魔しますっ……!
…………えっ」
勇気を振り絞って扉を押し開けて、絶句する。
な、何、この暗さ……?
温室とは正反対で、薄暗くて今にも何か出そうな廊下。
埃かぶってるとか床に穴が空いてるとか、そういうことじゃないけれど。
まるで綺麗な廃墟みたいな雰囲気に、圧倒されてしまう。
「な、成宮くーん……?」
廊下に人影は見当たらない。
少しだけ声を張り上げて呼んでみても物音1つしなくて、さらに不安が膨らむ。
っていうか、なんでカーテンが全部閉まってるの!?
電気も付けようよ!
心の中で文句を言いながら、目の前の階段を上がる。