君と描く花言葉。
「ほ、ほら、成宮くんだって描き終わってないでしょ?
だから、一緒に描こうよ。ね!?」
「…………。わかった」
私の必死の熱意が伝わったのか、少し残念そうな顔をしながらも筆を手に取ってくれて、ホッとする。
よかった……。
普通の友達にならまだしも、先生よりも上手い人に見られながら描くなんて、緊張なんてものじゃないもん。
手が震えてカックカクの線になりそうだ。
成宮くんがさっきまで使っていた鉛筆を借りて、キャンバスに向かう。
見られていなくてもなんだかドキドキして、いつも通りに描けるか少し不安だったけど。
描き始めてみると、思ったよりも、むしろいつも以上にスラスラと下書きを進めることが出来たことに、自分でも驚いた。
なんでだろう。
もしかして、さっき一回目を瞑って細かくイメージしたからかな?
描きたいものが自分の中にはっきりと存在しているような、そんな不思議な感覚。
いつも下書きするときにある迷いが、今は全くないように感じた。
2人だけの静かな空間に、陽の光が柔らかく注ぎ込んでいる。
アマリリスはゆらゆらと嬉しそうにその光を受けていた。
私はいつにも増して夢中になって、絵を描く腕を動かし続けた。