君と描く花言葉。
「成宮くん、ここら辺にコンビニってことある?」
「あるよ。すぐそこ」
化粧品店を出た後、成宮くんに連れて行ってもらって、コンビニに寄る。
自動ドアが私たちに反応すると、テレレーンと軽快な音楽が鳴った。
「今日、二回目だ」
「あ、そっか。私が来る前、コンビニ行ってたんだよね」
ふとした成宮くんの呟きに笑いながら、ちょっと奥の方にある飲み物コーナーに直行する。
さっき見た成宮くんのコンビニ袋の中身、お茶は一本しか入っていなかったように見えたから。
夕飯のお供に何かジュースでもプレゼントしようかな、と思い至ったってわけだ。
りんごジュースが出てくるくらいだから他にも飲み物はあるのかもしれないけど、まあ、あっても困らないだろう。
「成宮くん、飲み物は何が好き?」
「……うーん。水、かな」
「えっ。りんごジュースでもお茶でもなく?」
「りんごジュースは幼馴染が好き。お茶は別に、そうでもない。水は水道から出るから楽」
「水道水飲んでるの!?」
「うん。幼馴染が水道水なんて飲めないってうるさいから、りんごジュースだけ買ってあるけど。
あとは、気分で何か買うときもなくはない……くらいかな」
「もしかして、水道に浄水器付いてたり……?」
「ううん。普通の水道」
「えぇ……?」
それはズボラ過ぎるよ……!!
いくら食に興味がなくても、もう少し頑張ってほしい。
こんな調子じゃ料理なんてしないだろうし、栄養は大丈夫なのかなぁ……。
隣の家にお邪魔する機会がなかったら、栄養失調でも起こしそうだ。
「えーと……じゃあ、楽とかそういうの抜きで!
普通に買う分には?何が好き?」
「んー…………」
さらに質問を重ねると、今度は真剣に考え始めてしまった。
少し待ってみても、なにかが出てくる気配は毛頭ない。
……これは、ダメかもしれないな。
水かぁ。……水かぁ……!
「……ごめん。何にも思いつかない。やっぱり水で」
「おーけー了解……ちょっと待ってて」
うん、そうなるだろうなと覚悟はしていたよ。
仕方なく、天然水と私セレクトのミルクティーをレジに持って行く。
ちょっと、ミルクティーの美味しさに気付いて欲しい。
出来ればズボラ脱却の方向で。