君と描く花言葉。



「…………あ」



そうだ。


違う世界の見方を、昨日教わったばかりじゃん。



今見てる世界が『なんか違う』なら、新しい世界を見れば良い。




まずは、そう、ジーッとニゲラを観察する。



ジーッと。



青い花びら。真ん中には緑と黄緑と濃い紫とで形成された、蕾のようなものがある。


正確には雄しべとか、雌しべとかそういうものなんだろうけど。


詳しくはよくわからない。


茎や葉っぱは細くて、なんだかチクチクしている。




十分に見終えたら、そっと目を閉じてみる。


そして、目の前にあるはずのニゲラを想像する。



私のニゲラは、一体どういう風に見えるんだろう。


昨日のアマリリスみたいに、違う色に見えるんだろうか。



だとしたら、何色に?


わくわくしながら、見えてくるのを待つ。





…………けど。



「……あれ?」


目を開ける。


目の前には、変わらず青いニゲラが置いてある。



……見えない?なんで?


セイジに教えてもらった時は、すぐに見えたのに。



諦めきれなくてもう一度やってみたけれど、やっぱり何も見えてはこない。


なんで……?


アマリリスは、その花言葉通りおしゃべりしているように見えて、ピンク色に……。



花言葉?


もしかして、私は花言葉から連想して私のアマリリスを見ていたのかな。



< 62 / 165 >

この作品をシェア

pagetop