君と描く花言葉。
初めて見たかも、遊ぶ約束を疑問に思う人。
こんなにイケメンだし、周りの女の子が放っておかないと思うんだけど。
もしかして、今まで誘われたもの全部断ってきたのかな。
……セイジならあり得る。
私はセイジの家に行くわけだからセイジは絵が描けるし、私の世界が見たいというセイジの要望通りでもあるから約束できただけで。
あくまで第一優先は絵のことで、他は基本どうでもいいんだろうな。
ご飯すらどうでも良くなるレベルなんだから、他人なんてなおさら。
その生き方は、捉え方によっては協調性がないとも言えるけど。
純粋に絵が大好きで、脇目も振らずに好きなものに一心に打ち込めるのって、潔くて素敵だなって。私は思う。
私も人目を気にしすぎないで、好きに生きられたら良いのに。
セイジの側にいて、セイジのことをもっとよく知れば、私もそうなれるだろうか?
「エリカー。何してんの?
早く片付けないと部活終わるよ〜」
「あっ。今行く!」
高ちゃんの声にハッと我に返って、急いで画材を片付け始める。
ヤバいヤバい。
教室の鍵とかを返すのが遅くなると、お小言が多い先生が出てくるんだった。
面倒なことになるのはごめんなので、一旦思考は完全に放棄して素早く物を片付ける。
結構超スピードで片付けたはずなのに、片付け終わった時、もう既にセイジの姿は美術室にはなかった。
「高ちゃん、手伝おうか?」
「え?あれっ、エリカもう終わったの!?早っ!」
「片付けのことも考えて、元からあんまり広げないようにしてますから」
「うわ、偉い。あたし広げまくってるからなぁ。
今も青の絵の具見つかんなくて……」
「えぇ〜。って、あるじゃん。ほら、落ちてる」
「あ!本当だ!はは、落ちたのにも気付かなかったわ」
「高ちゃんガサツ〜」
「寛容と言いなさい寛容と」
「物をなくす寛容さはいりません」
「ごもっとも。
よし、お待たせ!帰ろっか」
「うん〜」