君と描く花言葉。
高ちゃんと2人揃って美術室を出る。
まだ美術室には人が残っていたから、鍵を返しには行かなくてよさそうだ。
「それにしてもさー。
あんた、中学の頃に見たニゲラが描きたかったんじゃないの?
今日はすごい独特な色使いになってたけど」
「あー……。うん。そうだったんだけどね。
なんか、もういっかなって」
「えぇ。あんなに一生懸命だったのに」
「あはは。今はもっと描きたいもの見つけたから!」
「ニゲラ狂信者卒業かー。見てて面白かったんだけどなぁ。変で」
「変!?そんな風に思ってたの!?」
「あっはっは」
「高ちゃん〜〜!?」
「にっげろー!」
「まーーてーーー!」
しばらく笑いながら逃げる高ちゃんを追いかけて遊んでいたけど。
そのうち、どちらからともなく立ち止まって、顔を見合わせて2人揃って笑い転げる。
ふと、こんな風にはしゃぎあったのは、実は初めてなのかもしれないと思う。
高ちゃんって良い人だよなぁ。
高ちゃんがいなかったら、私の高校生活はどうなっていたことか。
……高ちゃんも。
変な私でも、受け入れてくれるんだ。
今まで、どうせ理解されない、なんて勝手に決めつけて、なんて失礼なことをしていたんだろう。
これからは、もっと思ったことをちゃんと言うようにしよう。
変に遠慮ばっかしてないで、ぶつかりに行けばよかったんだ。
明るくていっぱい話しかけてくれる友達がいることに改めて感謝しつつ、その日は2人笑いながら帰路に着いた。